映画『こんな夜更けにバナナかよ』
茶人を目指す、窓辺亭主ミワコです。
元日に観た映画は『こんな夜更けにバナナかよ』
監督は前野哲さん、主演大泉洋さん、原作は渡辺一史さんの「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」、実話をもとにした映画です。
この原作は第35回大宅壮一ノンフィクション賞と第25回講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した作品だそうです。
映画館で予告を観て、バナナを叩き付けた高畑充希とそれにグッときた大泉洋さんの表情に興味が湧いたのでした。
難病である筋ジストロフィー患者の鹿野靖明さんは医師の反対を押し切って自立するためにボランティアの人に支えられながら生活していた。
彼は自由気ままで我儘でずうずうしくて、たまたまボランティアをすることになってしまった初心者の美咲は怒りが爆発してしまう。
そんなところから物語は始まる。
コメディタッチで映画は進んでいく、いままで考えたこともなかった介護ボランティアを集めることの大変さ、呑気に明るく生きているように見える鹿野さんの自立するまでの努力や苦悩、両親との関係や愛情、私がいままで生きてきて知らないことばっかりだ。
健常者は自らで動いて自分でやりたいことしたいことができるのに、彼はボランティア自己主張をして手助けしてもらわないと、やりたいことを実現できない。彼ひとりでは座っていてお尻を動かすことすらできないのだ。
鹿野さんは自分が自分として生きるために最大限の努力を惜しまない。
そのなかで人に頼ることをきっと努力して身につけたスキルだ。
彼の我儘は我儘と言えるのだろうか。
ここで突き付けられるのは、健常者の私はなんでもできるのにやりたいことに向けて生きているだろうか。正直に生きているだろうか。
登場人物たちも鹿野さんと触れ合うことで、自分自身の人生と向き合い、気づき、進む道を決めている。
時には鹿野さんとぶつかり合い、ひとり葛藤し、仲間と助け合いながらとても泥臭い工程だ。
映画の観客も同じように自身の人生と向き合うキッカケになるだろう。
私は感動の涙よりも、もっと重いメッセージを与えられたようでショックな気持ちだった。
「お前もちゃんと地に足つけてちゃんと人生を生きろよ」って。
相手のことを気にしすぎて自分の人生をおざなりにしてないだろうか、今は自分さえ我慢すればコトはうまく行くって勘違いしてないだろうか。それが気遣いなんだろうか。
本当の愛情や仲間、家族ってそういうことではないよね。
自分を自分として生きることで、お互いが尊重でき
る関係性が築けるのだね。
こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち (文春文庫 わ)
- 作者: 渡辺一史
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 文庫
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では、また。