窓辺の喫茶

表千家茶道、茶人を目指す。アート、音楽好き。HSS型HPSのため臆病なくせに好奇心旺盛。日常に思ったことの徒然を書く。

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大寄せの茶会、それはひとつの戦場である

茶人を目指す、窓辺亭主ミワコです。

 

スマートフォンの具合が急激に悪くなり、満タンに充電されているのにアプリを触るだけで電源が落ちる現象が続き、電源を指しながらでしか使えない代物になっていたため下書きも出来なかったと言い訳しておきます。

本日、機種変更してアプリのインストールやら目下環境設定中。

なので、古い端末触りながら執筆しております。

 

通信環境にこんなに踊らされるってどうなん?と思いつつも使うのを止められるわけでもない小市民ぶり。仕方ない。仕方ない。

 

23日の金曜日は表千家青年部の穏やかで気持ちの良い茶会に参加してきた。

心が洗われるとはこの事かと思いつつ、普段年に数回お邪魔させてもらう大寄せの茶会との違いを噛み締めた。

 

『茶会』というと、皆さんどんな光景を思い浮かべるだろうか?

 

茶道経験者は少なからず「あー、あれね」と口許を歪ませていることと思うが・・・

 

あそこは茶人を名乗るオバサン達の戦場である。

 

茶人の朝は早い。

 

10時に会場であれば、9時前にはもう現地にスタンバイしているのは必至だ。

そして、その熱気に押されて9時半くらいには茶会が開始される運びとなる。

 

開門したら、彼女たちは着物に草履で有るのにも関わらず恐ろしいスピードで走り出す。

その勢いに、漏れ無く若者(と言っても40代以下)は乗り遅れる。

 

大寄せの茶会は前売りチケット制(茶券という)で何席か入れるのだが、基本的に指定席などは無いので早い者勝ち。初めの茶席に入れるかどうかが早く回れるか、チケットを全て使いきれるかの運命の分かれ道なのだが・・・

そのため、順番を確保するために彼女たちは礼儀も作法もなく放埒な場所取り合戦が始まる。

いち早く入った仲間が場所取りをして後から横入りは普通で、酷いときは

 

「私は●●先生の知り合いなのよ」

 

と唾を飛ばしながら定員オーバーの茶席にズカズカ入り込む老婆もいる。

そのせいで小さな茶室の障子が外に吹っ飛んで皆が慌てふためいた時は目を見張って思わず吹き出してしまった。

 

喧嘩が起こることも珍しくなく、年甲斐もなく茶人たちが順番の取り合いで、あからさまな嫌みを言ったり、文句を言いだす。

 

さて、その戦いを乗り越えて茶室に入ると、次は正客の譲り合いが始まる。

 

本来の茶会や茶事では、亭主が客を呼び、それに伴い数人連れが集まり催される。

大寄せの茶会は、亭主から芋づる式に茶件を手に入れた雑多な客が集うため、主たる客は決まっていない。効率的な考えがある茶席の場合は事前に経験がありそうな客から正客を選んでおくのだが、大抵は席に入ってから一悶着となる。

正客の役目を仰せつかると亭主と道具やら掛け軸やら、場を纏めるトークを仕切る重責となるため、出来れば皆やりたくない。

 

まずは、椅子取りゲームのような場所の取り合いが発生し正客の席を譲り合う面倒なくだりが繰り広げられる。

出遅れた客は半泣きで手を振りながら「無理です〜」茶室の真ん中でオロオロ。

最終的には主催者側の半東(仕切り役)が、実はやりたそうな客にお願いする形で終わる。

 

ここで、たまに空気を読まずに何も知らない輩が正客に名乗りをあげるとおかしなことになる。

亭主とのやりとりもトンチンカンとなり、語彙も少ないのでひたすら「素晴らしい」を連呼して味気ないことになったり、まるで見当はずれな茶道とは関係のない話をして白けた雰囲気になることもある。

 

また、自分の知識をひけらかして「この道具の設えは違う」とか、亭主に挑戦を挑むような爺さんもたまにいて嫌な雰囲気が流れたり、そんな悲惨な席もあった。

 

こんな場合は亭主の腕の見せどころだが、亭主も一緒になって白けたり、イライラし出したりなんてことになるとピリついた空気となり、THE ENDだ笑

 

なんだかとっても小難しいのねと思われそうだが、これこそが一期一会なんだなと実感する。

全員が良い意味で忖度して心地よく過ごせる場を作り上げれば良い席だったと思い返すし、誰かが場を乱すとガッカリ心がざわつく席になってしまう。

 

全席回ると達成感もありつつグッタリなのだが、反面人間模様が見えて、一部始終を私は楽しんでいたりする。

茶道の醍醐味ってこういう所に現れるし、日本人だからこそできる文化かもしれない。ま、そんなこと考えるのは変な奴かもしれないな。

 

されど、自分たちが主催側に立つと、お客様がなかなか満足に至るまでのレベルは難しいのかな〜なんて思ったりもする。

何事も勉強だよねぇ。

 

そんなサクセスストーリーが詰まった茶会だが、表千家宗匠は「茶会ばかりでなく茶事をやりなさい」と苦言を呈す。

結局は、茶会も茶事を行うための割稽古(一部分を切り取った稽古のこと)なんですね。

なかなか、手厳しい〜。

 

あー、あと喧嘩とかやめなさいとも言って欲しいわ。

 

さてさて、ひとつだけ思うのは茶席の予約を効率化、システマチックにできないものかなと思う。

酷い時は2時間待ちなんて、ディズニーランドに負けず劣らずな苦行を強いられるので新しい時代に向けて変わらないかな。

 

時間が前後してしまうのは分かるのだけど、時間制で予約をできるとか。

 

新しい世代に向けて、誰か一緒に考えませんか?