窓辺の喫茶

表千家茶道、茶人を目指す。アート、音楽好き。HSS型HPSのため臆病なくせに好奇心旺盛。日常に思ったことの徒然を書く。

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茶道 練香を作ってみた!

茶道の魅力を発信します。茶人を目指す、窓辺亭主のミワコです。

 

炭点前で小さいながらも重要なポジションを占めると思っている『練香』を作ってみたレポートをします。

 

茶を点てる湯を沸かすために炉に炭をくべる必要があります。その際に茶室に炭の臭いが充満するので、香を薫きしめるのです。

炭くさいってあまり感じないのですが、香のポジションが良いと芳香が漂います。逆に、哀しいかな炭に近すぎて香が焦げてくさいということもあります。妙な煙が立ち昇って、すぐに分かるんですけどね(笑)

 

今回は、表千家青年部の講習会で『練香作り』の会が催されていたので参加してきました。

 

場所は人形町松栄堂さん。

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店先にお香が焚かれて芳しい〜!

 

まず、呈茶のサービス。青年部の方が点ててくださった美味しいお茶と人形焼。

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表千家のお茶はお池が出来るくらいの泡立ち。

 

さて、材料はこちらです。

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嵐山:白檀(びゃくだん)の粉末
宇治:木炭の粉末
清水:甘松(かんしょう)・丁子(ちょうじ)をブレンドした粉末
大原:安息香(あんそくこう)貝香(かいこう)などの粉末
衣笠:かっ香・竜脳(りゅうのう)などの粉末
嵯峨:沈香(じんこう)の粉末
貴船:蜂蜜

 

どれも薫りの原料は東南アジアを中心として、遠くはアフリカ大陸など海外からやってきたもの。

今でも貴重な物ですが、香を見るだけでも古来からの世界との繋がりを感じることができますね。

 

私は正倉院の宝物や仏像などの遺物、歴史を見ていくと、古代の方が今より世界を近しく認識していたのではないかと想像しています。

 

これらを全てブレンドする必要があります。それぞれが欠かせない材料なんだとか。

 

平安時代源氏物語には光源氏や紫の上が香の原料を粉末にして秘伝のレシピで練香を作るシーンがあって、貴族が手を汚しながら伴侶にも秘密で隠れて練香を作っていました。なんだか想像と違う貴族の姿ですよね。

 

当時は香りでどの家の出身かわかったのでしょうし。また、香りは衣装に薫きしめるので誰がきたのかすら香りで察知してたのでしょう。

 

宮家のレシピも本となって現代にも伝わっています。

 

お茶の世界では利休さんもお師匠さんから伝えられた薫りで作っていた記録が残っています。

 

 

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まずは基本のレシピを元に調合します。

それから好みのイメージの香を追加しました。

 

私は沈香と丁子を多めにしてボディのしっかりしたイメージです。

でも、焚いた時の想像がつかないのでスタッフの方に確認しながら不安いっぱい。

 

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次に熱を効率よく集めるための炭を少量。黒い色になれば良いので少量です。


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そして、香を纏めるための液体を投入。

何と、水分を少なくしたレンゲの蜂蜜なのです!

ビックリですよねー。

 

これも入れ過ぎるとドロドロになってしまうので慎重に。また、香りも甘くなるのでスッキリ爽やか系を目指す


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すり鉢で粘度が均一になるように練ります。

結構固めなので力を込めてネリネリ。

 


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練りあがったら掌で丸めます。

手の温度で艶が出てくるのです。

 

店頭の商品も職人さんのお手製というのも驚愕で、結構難しいですよー!

 


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出来上がりました!

自分で作ったからこんな形状でも可愛く見えちゃいますね〜(笑)

 

店頭の商品は出来上がってから1年間寝かせるのだそうですよ。そうすると香りが安定するのですって。

 

私は堪え性がないため、お稽古で使わせていただきました。

多分、丁子のスパイシーで甘い香りが強い練香になりました。嫌いじゃないな(o^^o)

香りが一番立つのは180度から200度ということで、いつもより炭から離して置いてみたら、焦げずにベストポジションでした。

 

季節柄『紅梅』と銘をつけました。

 

一緒に練香を作ったお仲間は全く違う香りになったようで、それぞれの個性が不思議と現れたのも楽しい発見。

 

自宅でも再現したい!と思っていたらインターネットでも販売しているとの情報が!

 

 

 

 

欲しくなってしまう価格帯(笑)

 

松栄堂のスタッフさんには詳しい歴史や源氏物語のエピソードなどを伺って、とても充実した内容でした。

 

茶道に使われる道具は現代ではスタンダードではないものが殆ど。

でも、茶道という形で伝わっていくのは一つの功績なのかもしれませんし、それを体感できることが本当に貴重だなと豊かな気持ちになりました。

 

では、また!