群馬県立館林美術館『熊谷守一 いのちを見つめて』
ゴールデンウィークの10日が多いのか少ないのか、残りわずかとなり何とも言えない窓辺喫茶亭主ミワコです。
こんなにのんびり過ごせる機会はないとは言え、カロリー摂取し過ぎのため運動再開しないと…
大好きな画家の1人、熊谷守一の展覧会が開かれていたので訪れたのは館林美術館。
建物は高橋てい一の設計で、2004年第17回村野藤吾賞を受賞している。
広い敷地の中、緑と空の青を水でつなぐようなゆったりとした澄んだ気持ちになれる建物。
熊谷守一というと「モリカズ様式」と呼ばれる線描、平面的で鮮やかな色彩を思い浮かべると思いますが、この展覧会では東京美術学校時代の写実的な絵から晩年の作風に変化するまでを時系列に展示しています。
改めて、熊谷守一がアカデミックな絵画の理論、高度で精緻な技術を持っているからこそ「モリカズ様式」が生まれたことを実感しました。
下手ウマと思う人もいるかもしれませんが、実は写実に基づいた造形美、色彩感覚、バランス感覚があってこその画面を見たときの安心感が生まれるのです。
また、動植物はデフォルメされているようで専門家が見るとよくぞここまで観察したというような特徴が描かれているそう。
本人は実は大真面目に具象画を描いているつもりなのかもしれません。
そして何より技術だけでなく、貧困で三人の子供をなくすなど多くの悲しみを経て、人間や自然全てを含む愛情が筆を通じて絵画に染み込んでくるのを感じます。
娘萬を見送った『ヤキバノカエリ』は悲しさと悔しさを超えてポッカリ穴が空いたような空虚感を私は思いました。
ある時、出版社の担当が「先生は他の人には見えないものを見た描いているようです。好きなものを描いてみてはどうですか」という進言で描いたのが、『朝のはぢまり』や『夕映』など太陽を描いた連作。
今回、私はこの絵を観に来たのだと確信。
中心からずれた円だけで構成された絵です。
本当に描きかったのは、太陽を見て守一が感じた何か。
太陽の光、エネルギー、それ以上の何か。
心が熱くなるのを感じました。
また、同郷の仙厓を意識した書、水墨画も自由を感じる愉しさがありました。
初期の人物画や風景画も色彩感覚がすでに素晴らしく、晩年の動植物や水滴など身の回りの小さくて大きな世界。
小さな画面から溢れる世界の魅力、私たちの世界の豊かさを存分に感じることができます。
こんなにも世界を慈しむ気持ちに自分もなれたらと思うけど、足元にも及ばない。
そんな気もしてしまう。
全国にこの展覧会は回覧するそうなので、是非足を運んでいただきたいです。
同時に彫刻家フランソワ・ポンポンのアトリエや作品も展示されています。
フクロウ可愛かった…
では、また!