映画『ここは退屈迎えに来て』感想
茶人を目指す、窓辺亭主ミワコです。
はじめに書いた記事がなんか違うなあと思い書き直しました。
自称フジファブリックオタクの活動として、劇伴をしている映画『ここは退屈迎えに来て』を観てきた感想です。
詩的なタイトルが鮮烈な印象を残す、山内マリコが2012年に発表した処女小説が遂に映画化。2004年の高校時代から2013年までの時間軸の上で、みんなの憧れの的だった「椎名くん」を柱にキャラクターを交差させながら描く、痛く切ない群像劇が誕生した。
27歳の「私」は、何者かになりたくて東京に出たけれど、10年が経ち、なんとなく実家に戻った。高校時代に仲が良かったサツキちゃんと、当時みんなの憧れの的だった椎名に会いに行くことに。一方、地元に残った「あたし」は元カレの椎名のことが忘れられずに苦しんでいる。(公式HPより)
一言で表すと切ないより辛かった。
でも、何故に辛いのか分からずに1週間も悶々としていたのだったであります(汗)
今朝、お風呂でぼんやりしていたら私も似たようなことをやったのが蘇ってきて、モヤモヤの正体が分かって納得した。
思い出したくない記憶だったから封印していた気持ち悪さだったのね。
成田凌さん演じる椎名くんほどイケメンくんでもカリスマでもないけれど、私は中学生時代に好きな男の子がいた。
サッカー部のそこそこ人気のある少年だ。結局のところ好きなんて言えなくて終わった他愛ない小さな恋。
大学生の頃に、懐かしさもあって友人のつてでその男の子とその他同級生で会う機会を作って貰った。既に昔過ぎて、会った時の詳細が思い出せないんだけど、4人くらいで会ったのかな?
もう一人きた同級生の方が、しっかり大人になっていて素敵だなぁと思ったような気がする。
しばらくして彼から電話がかかってきて、会社の先輩がいるんだけど今から飲みに来ないかという誘いだった。
でも電話の後ろは、男性が怒号を上げているのが聞こえて怪しさ満点。絶対に行きたくないので今は無理と言った。
しかし、彼も必死でなかなか引き下がらないのだ。
私は今は付き合っている男性といると嘘をついて断った。
「お前遊んでるんだな!」
と蔑んだように言い捨てられて電話は切られた。
今だったら男の子側の事情を詳細を聞いてみたかもしれないなぁなんて思うけど、二十歳そこそこの私は何も返せずに中学校の頃の淡い恋心が儚く砕け散った情けない気分でイッパイだった。
その時はただビックリした。泣いたわけでも悔しいと地団駄踏んだわけでもないけれど、昔を掘り起こすのは良くないと感じた。それだけだと思っていた。
しかし、記憶を塗り固めて奥底にしまっていたことがわかり、存外トラウマになっていたようだと客観的に理解した。
この映画はいろいろな立場の登場人物が椎名くん中心に、それぞれの人生の葛藤を重ねた瞬間を綴っている。
富山が舞台ということは路面電車から分かるのだが、地元にもありそうな国道とか田畑とか、中高生の頃の空気感を懐かしく思える多いシーンが散りばめられているから観客は登場人物の誰かに自分を重ねていくだろう。
私は苦い過去の記憶を呼び覚まされてしまったのだけど、思い出したことでなんだか可愛かった自分を慰めて愉快になった(笑)
それぞれが若さゆえのボンヤリした不安を抱える。観ている側もそれを思い出す。
物語に寄り添うフジファブリックの楽曲が浄化してくれるような鎮魂してくれるような、不思議な感覚に誘う。
登場人物が歌う『茜色の夕日』も世代を表現していて、また都会と田舎のなかを行き来する私はこの曲の味わいかたをひとつ教えて貰った気分。
何でこんな演技ができるの~❗と驚愕しつつも、彼の演技は『色即じぇねれいしょん』から注目してるし好きなのです。ふふふ。
新保くんの複雑な人生がシーンごとに浮き彫りになっていくようで苦しい。
そして、彼の『茜色の夕日』はもっと聴きたかったなぁ~。涙出そうになった。
ラストはHSPとしては、ニガイし『私』だったらしばらく立ち直れない衝撃シーン。
主題歌『Water lily flower』が最後の救いのように希望を歌う。
これほどこの映画に合う曲があるだろうか。
意図してるかどうか分からないけれど、蓮の華から垂れた糸にしがみつきながらも上に向かって進んでいくそんな崇高な耀きすら感じるのだ。(蓮華はLotas flower だから違うかな)
明日に希望を持ちたい人に観て欲しい映画でした。
Water lily flower 収録アルバムFAB FIVE とコンピレーションアルバム
「ここは退屈迎えに来て」 -オリジナル・コンピレーション・アルバム-
- アーティスト: フジファブリック,DATS,LUCKY TAPES
- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2018/10/03
- メディア: CD
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