金木犀の記憶
茶人を目指す、窓辺亭主ミワコです。
暑さが急に退いて朝晩は肌寒いくらい。昨日辺りから私の住まい周辺に金木犀が咲き始めたのを感じた。
秋だなぁ~。
香りの記憶からの連想。
小学5年生の時に新潟県N市から群馬県G町に引っ越した。隣県だが、気候も風土も違う、植生も違うをことをこの時知った。
新学期が始まって少しすると、街中に金木犀の香りがむせるほど充満したのは、初体験でありセンセーショナルな出来事だった。
近所にあった大木には小さな花をたくさんつけていて色を変えているのも印象的であった。
私はたちまち甘く優しい香りに魅了されてしまった。
大木の下はしだいに金色の絨毯となった。花は散っていく。
どうにか手元に香りを留めることはできないかと花を摘んで瓶のなかに水と混ぜて香水にしようと試みたがしばらくすると茶色の汚い水になって断念するほかなかった。
小学5年生当時、植物は酵素で変色するとか、乾燥させてオイルとかアルコールにとか漬けるなんて知識も材料もなかった。
ただただ、もっと何らかの技術があればと子供の無力さを情けなく思った記憶がある。
1週間ほどしたら芳しい香りは花が散るのと同時に去ってしまった。夏が去って秋の訪れを告げ、香りの終わりとともに草木が枯れゆく物悲しい季節がやってくる。
ちょっと切ない思い出。
そして、この時期に聴きたくなるのはフジファブリックの『赤黄色の金木犀』
金木犀の色を「赤黄色」とする志村くんのセンスは亡くなって来年で10年経つけど色褪せないね。
ア・カ・キ・イ・ロ・ノ、き~んも~くせ~いが~
色の表現が金属的に聞こえ、金木犀の花は柔らかく歌う。
深緑色の葉から覗く、鮮やかな「赤黄色」のまぶしさが目に浮かぶような演出だ。
さて、これは誰に宛てた曲なのだろう。志村くんの甘く切ない伝えられなかった恋の相手なのか。
いま、透き通った美しい声で総くんが歌うそれは志村くんへ向けたように思ってしまうよ。
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住まい近くの金木犀は、地元と違って僅かしか咲かない。儚い香り。
気候変動で四季がなくなってきたというけれど、欠片でも探して感じる心は失わないようにしよう。